ビジョナリー思考

今だから「論語と算盤」のバランス経営は必須

2024年に一万円札・五千円札・千円札紙幣のデザインが一新されることになっていますが、ここで取り上げたいのが1万円札。表には渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)氏。日本で最初の銀行である第一国立銀行(現みずほ銀行)や東京ガス、サッポロビール、帝国ホテルなどを創始、その他生涯に約500もの企業に関わったことで、「日本資本主義の父」と呼ばれ、経済界では知らない人がいないほどの有名人。
参照:渋沢栄一記念財団

 

にもかかわらず、「渋沢」の名を冠した企業がほとんどない理由は、彼の語った言葉の中に訳が見てとれます。 「利益の独り占めは道徳に反する」と。この言葉の中には、資本主義の欠点を見抜き、自らが手本となって「未来に続く会社とは?」との問いの答えを体現してみせた凄みを感じます。

 

資本主義の欠点とは、利益至上主義に走り、時には「儲かればなんでもあり」という欲望だけで暴走してしまうことで時折、見聞きする企業の不祥事などがそうでしょう。 そこで、このような暴走や反道徳的な行為を誘発してしまう「資本主義」の欠点を補うために、「論語」を用いたわけです。

 

「商才は『論語』によって養える」とまでいう意味するところは何なのでしょうか? ここには「人はどう生きるべきか?」という哲学的な思想や、「そうすればハッピーになれるのか?」などの現代的な疑問に答えられるような「人間力」を養う考え方なのだと思います。

 

経営に置き換えれば、「会社はどうあるべきか?」「社会の中で誰が喜んでくれるのか?」という問いと同義であり、これはそのままビジョンやミッション、そしてカンパニースピリッツなどに通じます。

 

一方で、「算盤」とは金を稼ぐ算段のことで営利活動そのものを指しますが、これはマーケティングやファイナンスということであり、これも経営においては必須で考えるべき課題です。これまでは「算盤」だけでもなんとかやってこれた時代でしたが、果たしてこれからもこの「算盤」だけで通用するのか?という問いに直面しているように感じます。

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